三重県立盲学校でのワークショップレポート
目次
なぜ、教育現場に「香り」が必要なのか
2026年2月6日(金)、三重県立盲学校で香りを使った授業を実施しました。
香りは記憶や感情と結びつきやすい感覚です。視覚情報が制限される環境では、香りを通して自分の感情を言語化することが、自己理解の助けになります。今回は90分の授業で、子どもたちに香りと自分の気持ちを結びつけるワークを行いました。

身近な香りのクイズによる「嗅覚体験」
授業の最初に、香りと記憶の関係を体験するクイズを行いました。チョコレート、バナナ、足の匂いなど、子どもたちにとって身近な香りをムエット(試香紙)に染み込ませて当ててもらう内容です。
「これは昨日のおやつの匂いだ」「懐かしい感じがする」と、教室には笑い声が広がりました。このクイズで伝えたかったのは、「香りに正解はない」ということです。誰かが「いい匂い」と言っても、自分が苦手だと思えばそれでいい。自分の感覚を大事にしてもらうための導入として行いました。
6種類の香りを嗅ぎ分け、今の感情と結びつけるワーク
メインのワークでは、「うれしい」「落ち着く」「ワクワクする」など、6つの感情が書かれたポケットを用意しました。子どもたちは数種類の香りを嗅ぎ比べながら、「この香りを嗅ぐと、自分はどんな気持ちになるか」を考えて、それぞれのポケットにムエットを振り分けていきます。
同じ香りでも「うれしい」と感じる子もいれば、「落ち着く」と感じる子もいる。香りを通して自分の感情を言葉にしていく時間となりました。

好きな香りを選び「10mlボトル」を制作
授業の最後は、その日に試した香りの中から自分が一番好きな香りを一つ選ぶ時間です。子どもたちが「これが好き」と決めた香りを、その場で10mlのボトルに詰めて手渡しました。
感想を聞くと、ある生徒さんは「前の授業で疲れていたけれど、香りを嗅いだら一気に疲れが取れた」と話してくれました。また別の生徒さんは「これはお母さんが好きそうな香りだからプレゼントする」と先生に話していたそうです。
自分が好きだと選んだ香りが、家族や周りの人を想うきっかけにもなる。そんな場面を見ることができました。
先生からのフィードバックと、これからの活動展開
実施後、先生方からは「普段はおとなしい子どもたちが、自分の感情を豊かに表現していて驚いた」「教育的価値の高い内容だった」とのお声をいただきました。
一方で、視覚支援(点字や文字の工夫)が不足していたなど、初めての試みゆえの課題も見つかりました。次回以降のプログラム改善に活かしていきます。
今後は小学校での実施を中心に、中学校・高校など、より幅広い世代に向けた授業も展開していく予定です。フレグランスプロジェクトでは、引き続き香りを使った教育プログラムを通じて、子どもたちが自分の感覚を大切にできるきっかけを作っていきます。