オードパルファムとオードトワレの違い。香水の種類と持続時間から選ぶ基準
オードパルファムを買ったけれど、香りが強すぎて酔ってしまった、オードトワレを選んだら、すぐに香りが消えて物足りない、という経験を持つ方は少なくありません。もっと長く香らせたい、あるいは、もう少し優しく香らせたいという悩みは、実は香りの好み以前に、濃度の選び方が合っていないことが多くあります。
香水には、持続時間や香りの強さを左右する濃度の規格が存在します。あとになって自分には合わなかったと後悔しないために、まずは基本のルールを確かめましょう。
本記事では、香水選びの基礎となる4つの種類の違いや、失敗しない選び方の基準、そして香りを長持ちさせる方法を解説します。
目次
オードトワレとオードパルファムの違い
香水の規格を知る第一歩として、まずは店頭でよく目にする「オードトワレ(EDT)」と「オードパルファム(EDP)」の違いを理解しましょう。この2つの大きな違いは、香料の濃度(賦香率:ふこうりつ)にあります。
濃度が異なれば、香りの強さだけでなく、持続時間や周囲への広がり方まで大きく変わります。しかし、調香の段階では、これらは単純な濃さの違いだけでなく、調香の処方そのものが異なります。それぞれの特徴は以下の通りです。
つけた瞬間の爽快感を重視するオードトワレ
オードトワレは濃度が比較的低く設定されており、ふんわりと軽やかに香るのが特徴です。持続時間は3〜4時間程度で、数時間で自然に消えるため、周囲の迷惑になりにくいメリットがあります。調香師はオードトワレを設計する際、つけた瞬間の爽快感を重視して処方を組み立てます。そのため、オフィスや学校など、人と距離が近い場所でも清潔感を維持する日常使いに適しています。
時間による香りの変化を重視するオードパルファム
オードパルファムは、オードトワレよりも濃度が高く、香りの深みと持続力を高めたタイプです。持続時間は5〜7時間程度と長く、朝つければ夕方頃まで香りが続くため、外出先で何度も付け直す手間が省けます。
調香の現場では、数時間後までしっかりと香り続けるよう、ウッドやムスクなどの土台(ベースノート)を強化した処方にすることが多いです。自分の個性をしっかり出したい場合や、高級感のある香りを一日中楽しみたい場合に適しています。同じ名前の香水でも、濃度によって全体の印象が少し異なるのは、こうした処方の違いがあるためです。
濃度によって香水の持続時間が変わる理由
香水の種類によって持ちが異なるのは、揮発スピードの差によるものです。香水は、アルコールに香料を溶かして作られており、両者の比率が、肌の上での広がり方と持続時間を決めます。この章では、濃度と持続時間の仕組みについて解説します。
5〜7時間以上継続する高濃度
オードパルファムなどの高濃度タイプは香料の占める割合が多く、5〜7時間ほど持続します。香料はアルコールに比べて揮発しにくいため、肌の上でゆっくりと時間をかけて蒸発していくからです。少量でもしっかりと香るため、付け直しの手間がかかりません。
2〜4時間で消失する低濃度
一方で、オードトワレなどの低濃度タイプはアルコールの割合が高いため、2〜4時間ほどで香りが消えます。揮発性の高いアルコールがスプレーした瞬間に勢いよく蒸発するため、つけた瞬間の拡散力は高いものの、持続は短くなります。重くなりすぎず周囲に配慮できるため、日本の気候やマナーを意識したい場面に向いています。
肌質や湿度で「寿命」が変化
香水の持ちは、濃度だけでなく、つける人の肌質や環境にも左右されます。
例えば、乾燥肌の人は、乾燥肌の方は香料(油分)が肌に吸収されやすく、脂性肌の人よりも香りが早く飛ぶ傾向があります。また、湿度も重要です。湿度の高い日本の夏は、香りの分子が空気中に留まりやすく、通常よりも強く、重く感じられます。
逆に乾燥した冬は揮発が早まるため、いつもより多めにつけないと香らないこともあります。スキンケアと同じように、その日の天候や肌の状態に合わせて香水を選ぶと、より上手に香りを扱えます。
香水の種類とそれぞれの定義
香水の種類は、大きく分けて4つに分類されます。トワレとパルファム以外にも、濃密な残り香を残す「パルファム」や、軽快にまとえる「オーデコロン」があります。それぞれの定義を知っておくと、TPOに合わせた使い分けをしやすくなります。
パルファム
濃度:15〜30%
持続時間:5〜7時間以上
もっとも濃度が高い区分です。希少な天然香料などが使われており、一滴で深く、長く香ります。スプレーではなく、点として肌に置くようにまとうのが一般的です。価格帯も高めですが、その香りの変化と深みは、特別な日の装いに適した重厚感があります。
オードパルファム
濃度:10〜15%
持続時間:5〜6時間
パルファムの重厚感を保ちつつ、濃度を少し下げて使いやすくしたタイプです。現在販売されている香水のなかで、もっとも一般的な濃度です。仕事終わりまで香りを残したい、しっかりと香りを主張したいといったご要望にも合わせやすい構成です。時間による香りの変化を、もっとも手軽に体験できる仕様といえます。
オードトワレ
濃度:5〜10%
持続時間:3〜4時間
日々の身だしなみに使いやすく設計された濃度です。トップノートの爽やかさが強調されやすく、重さがないため、清潔感が伝わりやすくなります。付けすぎても周囲の迷惑になりにくいため、香水を初めて使う方が最初の一本に選ぶケースが多いです。
オーデコロン
濃度:3〜5%
持続時間:1〜2時間
もっとも濃度が低く、香水のなかでも特に軽い区分です。シャワー後やスポーツの後、就寝前の気分転換として、たっぷり使うことに適しています。アルコールの清涼感が強いため、夏の暑い時期や、一時的に気分を切り替えたいときに向いています。
自分に合う濃度を見極める判断基準
「結局、私にはどれが合っているの?」と迷ったときは、感覚だけでなく客観的な基準で選ぶと失敗しません。店頭でお伺いするご相談をもとに、おすすめの判断基準を解説します。具体的には以下の通りです。
30分後の「ミドルノート」の香り
店頭のムエット(試香紙)で嗅いだ瞬間だけで決めるのはおすすめできません。つけたて(トップノート)はアルコールの匂いが強く、本来の香りではないためです。
おすすめなのは、体温で香料が温められ、肌に馴染んだ30分後の香りです。このタイミングで心地よいと感じる強さかどうかが重要です。香水は時間とともに変化するため、購入時は最初の印象だけで判断せず、ぜひ30分後、1時間後の香りまで確かめてみてください。本当に好みの香りは、時間が経ったラストノートで見つかることもあります。
季節の気温や湿度
日本の四季に合わせて濃度を選ぶと、季節に馴染んだ香りになります。
夏(高温多湿):香りが広がりやすいため、爽やかさを重視したオードトワレ
冬(低温乾燥):香りが立ちにくいため、定着力の高いオードパルファム
梅雨:湿度が香りを重く感じらせるため、ウエストなどの低い位置にまとう低濃度の香水
香調(ノート)と濃度
香りの系統によっても、相性のよい濃度があります。
シトラス・石鹸系:オードトワレの軽やかさと相性がよく、透明感が引き立ちます。
ウッディ・ムスク・バニラ系:温かみや深みが発揮されやすい、オードパルファム以上の濃度
逆に爽やかなシトラスをパルファムにすると、香りが強すぎて不自然に感じられることがあります。これは香りの個性が濃度によって変化するためです。
場面や体質に合わせた濃度の使い分け
店頭でのフレグランス作り体験でお客様とお話ししていると、「私は長持ちするからオードパルファムの方が好きです」と言われることがよくあります。しかし実際に香りを試していただくと、好まれているのは濃度そのものではなく、時間による香りの変化の仕方であることが多くあります。香水選びは、どちらが優れているかではなく、どんな時間を過ごしたいかで選ぶ方が満足度は高くなります。
オフィスや公共の場でのトワレの選び方
オフィス、電車内、レストランなど、閉鎖的な空間や他人が近くにいる場所では、オードトワレが向いています。自分では良い香りだと感じても、周囲にとっては強く感じられることがあるためです。トワレなら、すれ違いざまにほのかに香る程度の距離感を保てます。夏場や人と会う機会が多い日はオードトワレを選び、付け直しを前提に軽やかにまとう方法が向いています。
イベントやデートでのパルファムの選び方
結婚式、パーティー、夜のデートなど、華やかな場所や広い空間では、オードパルファムが向いています。華やかな服装に合わせて存在感を出しつつ、長時間にわたって自分の印象を維持できます。また、長時間のイベントで付け直しのタイミングが取れない場合でも、パルファムなら朝から夕方以降まで香りを維持できる利点があります。
体温や汗の影響を考慮した「強さ」の調整
平熱の高さも香水選びに関係します。体温が高い人は、香料が温められて揮発しやすく、通常よりも香りが強く、早く立ち上がる傾向があります。平熱が高く香りが強く立ち上がりやすい方は、あえて低濃度のトワレを選んだり、鼻から遠いウエストや足首につけたりする方法が向いています。逆に冷え性で香りが立ちにくい方は、パルファムを手首やうなじなど、血管の太い場所に点として置くと、香りが穏やかに立ち上がります。
香りの強さを調整する方法
お気に入りの香りを理想的な強さで楽しむには、付け方のテクニックでコントロールするのが有効です。濃度を変えずに、付け方の工夫で調整するのが効果的です。濃度を変えずに香り方を整える方法は以下の通りです。
プッシュ数と場所
基本のルールは、濃いものは下へ、薄いものは上へつけることです。香りは下から上へ立ち昇る性質があります。
オードパルファム(濃):足首、膝の裏、ウエストに計1から2プッシュ。下半身につけることで、香りが柔らかく届きます。
オードトワレ(薄):手首、肘の内側、胸元などに計2から3プッシュ。上半身につけることで、軽い香りをしっかり楽しめます。
香水は、すれ違った瞬間や、衣服を脱いだ際にふわりと立ち上る残り香として感じられることも多いです。
肌を保湿して香りを長持ちさせる
香りを長持ちさせるポイントは、肌の保湿です。乾燥した肌では香水もすぐに揮発してしまいます。香水をつける前に、無香料のボディクリームやワセリンを塗り、肌に潤いを与えておきます。水分と油分のバランスが整った肌の上では、香料の分子がその場に留まりやすくなるため、揮発が穏やかになって持続時間が長くなります。
付けすぎた時の応急処置
万が一、香水を多くつけすぎてしまった場合でも、肌をこすり合わせることは避けましょう。摩擦熱によって香料の分子が壊れ、本来の香りが変わってしまうためです。
対応策としては、流水と石鹸で洗うか、外出先ならアルコールウェットティッシュで押さえてください。香料はアルコールに溶けるため、拭き取ることで濃度を薄めることができます。それでも香る場合は、上から無香料のクリームを厚めに塗り込んでください。油膜で蓋をすることで、揮発を抑えられます。
ライフスタイルに合わせて濃度を選ぶ利点
ここまで、オードトワレとオードパルファムの違いや使い分けを解説してきました。しかし、市販の香水(既製品)である以上、「香りは好きだけど、トワレしかなくてすぐ消える」「パルファムだと強すぎて酔う」といった悩みは、完全には解消できません。既製品では濃度が固定されているため、自分の好みに合わせる調整に限界があるためです。自分にとって心地よい強さを維持したい場合は、調合の段階で濃度を細かく指定する方法もあります。
まとめ
香水選びにおいて、香りの好みと同じくらい重要なのが濃度の理解です。自分のライフスタイルや体質に合わせて使い分けることができれば、香りのミスマッチを減らせます。
日常使いやオフィス:軽やかな「オードトワレ」
ここぞという時や長時間の外出:華やかな「オードパルファム」
オードトワレは香りを楽しむもの、オードパルファムは香りと時間を楽しむもの、とも言えます。その日の服装を選ぶように、気分やシーンに合わせて選ぶのが香水の楽しみ方です。朝まとった香りが、夕方に袖口からふわりと香る。その小さな残り香にこそ、香水の魅力があります。
もし既製品では理想の強さが見つからない、中間の濃度が欲しいと感じる場合は、MY ONLY FRAGRANCEへお越しください。
私たちの調合体験では、香りの構成だけでなく、全体の濃度をお客様の好みに合わせてオードトワレかオードパルファムからお選びいただけます。店頭のアドバイザーがご要望を伺いながら、心地よく使える濃度への調整をご提案します。皆様のご来店をお待ちしております。
※本記事では、一般的な香水の知識や楽しみ方についてご紹介しています。
MY ONLY FRAGRANCEでお作りいただけるフレグランスは雑貨としての取り扱いとなります。お肌への直接使用はお控えいただき、衣服やハンカチ、布製品などに軽く吹きかけて香りをお楽しみください。